カズレーザーさん、最上もがさん、壇蜜さん、鳥居みゆきさん。
日本の芸能界でバイセクシャルを公言している人は、思ったよりずっと多い。
ただ、「誰がカミングアウトしているか」という一覧はネットに転がっている一方で、その公表後の人生がどうなったかまで追いかけた記事はほとんどありません。
壇蜜さんが2019年に漫画家と結婚したこと。
最上もがさんが2021年にシングルマザーとして娘を出産したこと。
そして2025年8月、カズレーザーさんが女優・二階堂ふみさんと電撃結婚したこと。
カミングアウトは「ゴール」ではなく、長い人生の途中にある一つの通過点でしかないわけです。
この記事では、バイセクシャルを公表した日本と海外の芸能人を総まとめしつつ、カミングアウト後に彼らがどんな人生を歩んでいるのかまで追いかけます。
さらに、「バイは誰でも恋愛対象になる」「結局どちらかに落ち着く」といった典型的な誤解についても、当事者本人の発言で検証していきます。
読み終わったとき、「バイセクシャル=こういう人たち」という雑な理解が、かなり解像度高くほぐれているはずです。
編集長「バイセクシャルの芸能人」で検索して、名前の羅列だけで終わる記事を読まされたあなた。今日は、その先まで連れて行きます。
そもそも「バイセクシャル」とは?3分で押さえる基礎知識
芸能人の名前に入る前に、そもそもの言葉の意味を整理しておきます。
ここが曖昧なまま「誰がカミングアウトしたか」を読んでも、結局ただのゴシップ消費で終わってしまうので。
このセクションは基礎知識なので、知ってる人は読み飛ばしてもらってかまいません。
バイセクシャルの定義と、よくある誤解の原点
端的に言えば、バイセクシャル(両性愛者)とは、男性と女性の両方に恋愛感情や性的魅力を感じうるセクシュアリティのこと。
LGBTQIAの「B」にあたる部分です。
ここで多くの人が勘違いするのが、「男女を等しい比率で好きになる」という思い込みです。
これ、完全に誤解。
壇蜜さんが2012年のインタビューで自身を表現した言葉がわかりやすい。
壇蜜さんが『日刊サイゾー』のインタビューで語った言葉です。
つまり、バイセクシャルの人でも、時期や相手によって比率は揺れる。
「50:50で公平にジャッジする人」ではないわけです。
もうひとつ、「バイセクシャル=誰でも恋愛対象になる」という大誤解もあります。
これについては、のちほどカズレーザーさんの鋭いツッコミ発言を紹介します。
予告だけしておくと「そんな軽い男じゃねぇっすよ」というやつです。
レズビアン・ゲイ・パンセクシャルとの違い
よく混同されるので、隣接ワードとの違いを表でまとめておきます。
「バイセクシャル」と「パンセクシャル」の違いは特に混乱ポイントなので、ここは押さえておきたい。
| 用語 | 意味 | ポイント |
|---|---|---|
| レズビアン | 女性が女性を好きになる | 同性愛(女性) |
| ゲイ | 男性が男性を好きになる | 同性愛(男性) |
| バイセクシャル | 男女両方を好きになり得る | 性別という枠で対象を認識する |
| パンセクシャル | 性別を限定せず、あらゆる性別を好きになり得る | 性別を恋愛・性的魅力の条件にしない |
| ポリセクシャル | 複数のセクシュアリティを好きになり得る | ただし全てではない |
バイセクシャルとパンセクシャルの決定的な違いは、「性別」というカテゴリを意識しているかどうか。
バイセクシャルは「男・女という軸」を前提にした上で「両方いける」という感覚。
パンセクシャルは「そもそも性別で区切っていない」という感覚。
この差は微妙だけど、当事者にとってはかなり重要な違いです。
日本のバイセクシャル当事者の割合|統計で見る現実
データで見ると、このテーマの輪郭がはっきりします。
電通グループの「LGBTQ+調査2023」によると、日本のLGBTQ+層の割合は9.7%。
約10人に1人です。
この数字、時系列で見ると面白い。
2012年は5.2%、2015年が7.6%、2018年と2020年は8.9%、そして2023年に9.7%。
当事者が増えているというより、「自分はLGBTQ+です」と答えやすい社会に少しずつなってきた、と解釈するほうが自然です。
2018年時点で「LGBTQ+層は日本人口の約11人に1人、左利きの人とほぼ同じ割合」と表現されていました。
クラスに1〜2人いる計算になるわけで、「自分の周りにはいない」と思っている人のほうが、実は見えていないだけという可能性が高い。
芸能人のカミングアウトが、この「自己申告しやすい社会」を作るのに貢献したのは間違いありません。
次のセクションから、その勇気ある人たちを見ていきます。
バイセクシャルを公表した日本の芸能人【カミングアウト順】
ここからが本題です。
カミングアウトした順番に、日本の芸能人を7人、詳しく追いかけていきます。
単に「公表しました」で終わらせず、その後の人生がどう動いたかまで見ていくのがこの記事のスタンス。
カミングアウトは人生のゴールじゃなくて、あくまで通過点ですから。
鳥居みゆき|芸人初の「生コクリ」に、さんま騒然
まず押さえたいのは、鳥居みゆきさん。
2012年2月放送の『さんまくりぃむの第11回芸能界個人情報グランプリ』(フジテレビ系)で、結婚前に女性と交際していたことを公表しました。
番組では明石家さんまさんから「女性同士ってことは、一線を越えてるの?」と踏み込まれ、「はい」と即答。
スタジオは騒然となりました。
高校卒業から2007年に結婚するまで女性と交際していたと明言し、交際相手を「サッカー解説者の松木安太郎似」と表現して笑いを取る、さすがの鳥居みゆきさんトーンです。
好きな女性のタイプは「松たか子さん・鈴木砂羽さん・余貴美子さん」、男性のタイプは「鳥越俊太郎さん・館ひろしさん・中村雅俊さん・水谷豊さん」と公言。
「渋い」で統一されているあたり、キャラが一貫していて潔いです。
結婚相手は同じ芸人の「パソコンズ」タロフ(本名・栗田太郎)さん。
2007年、家賃問題から始まったルームシェアを両親に「同棲」と誤解され、勢いで結婚――という、これまた鳥居さんらしいスタート。
しかし、2019年に離婚しています。
この離婚がまた話者らしいエピソードで、マネージャーに送るはずの「離婚するかも」というLINEを夫に誤爆。
「分かった」という返信が来て、離婚が成立したという”誤爆離婚”として後に話題になりました。
2022年4月の『有吉クイズ』で「3年前に離婚した」と本人が発表。
ただ、離婚後もタロフさんとは友人関係を続けていると語っています。
壇蜜|「バイ公言からの結婚」組、先駆け的存在
結論から言えば、壇蜜さんは「バイセクシャル公言→その後に異性と結婚」という流れを、日本の芸能界でいち早く歩んだ人です。
カズレーザーさんの2025年の結婚報道でネットが荒れたとき、「同じパターンで壇蜜さんがいたじゃん」と冷静にツッコんでいた人、実は正解です。
2012年9月の『週刊プレイボーイNEWS』インタビューで、壇蜜さんは「バイセクシャルという噂は本当?」と問われてこう答えています。
「本当です(笑)。女性とお付き合いらしきことをしたこともあります」と。
「女のコと初めてキスしたのはいつ?」という踏み込んだ質問にも「15歳のとき」と即答。
カミングアウトというよりは、日常会話みたいな軽やかさが壇蜜さんらしい。
同年10月の『日刊サイゾー』では、自身のセクシュアリティを「6対4で、男性が6になったり、女性が6になったり」と比喩。
「女の子って現金なところとか、たまに見せる素がかわいいんですよね」と、観察者のまなざしで語っています。
「男女どちらかに確定したくない」「確定する必要もない」というスタンス。
そして2019年11月22日、いい夫婦の日に漫画家の清野とおるさんと入籍。
当時ネット上では「え、バイだったのに結婚?」という困惑も一部ありましたが、壇蜜さん自身は「どちらも好きなだけで、相手がたまたま男性だった」という趣旨の姿勢を崩していません。
夫の清野とおるさんは2024年12月から新連載『「壇蜜」』を開始し、妻との日常を描いています。
夫婦関係は極めて良好のようです。



壇蜜さんが2019年にやった「バイ公言からの結婚」を、2025年にカズレーザーさんが再現した。歴史は繰り返す、というやつです。
最上もが|「カミングアウト」という言葉に違和感
ここで外せないのが、元でんぱ組.incの最上もがさん。
でんぱ組在籍中の2012年12月22日、公式ブログで次のように書いています。
「ぼく」という一人称もそうですが、「カミングアウト」みたいな重々しい文脈ではない出し方が印象的でした。
2017年10月のTBS系『テッペン!有田哲平の夢なら醒めないで』でも改めて発言し、「10歳ぐらいの頃から、普通に女の子の方が好きだったんですよ」と語っています。
面白いのは、最上もがさん本人が「カミングアウトという言葉そのもの」に違和感を表明していることです。
2019年のイベントでは「僕にカミングアウトした意識はなくて、もともと何も隠していなかったのに」と発言。
2020年9月の『らしく〜My Story〜』(TOKYO MX)でも、「カミングアウトって『今まで言えなかったやましいことを言う。本当は隠さなきゃいけなかったけど』っていう感じがある。ボクの中では引っかかる」と語っています。
これ、重要な指摘だと思うんですよね。
「カミングアウト」という言葉自体が、「本来は隠すべきもの」という前提を含んでいる。
マジョリティ側は「勇気ある告白」と受け取るけど、当事者からすれば「ただ普段通り話しただけ」という感覚になり得る。
言葉って、その構造自体がときにバイアスを内包するんです。
最上さんはその後もライフステージを自分のペースで歩んでいます。
2020年11月に妊娠を発表し、2021年5月に娘を出産。
シングルマザーとしての道を選びました。
当時のパートナーには妊娠中に振られたそうで、2026年1月放送の『愛のハイエナ5』では「シンプルに振られただけです」と淡々と語っています。
2023年4月には初のフォトエッセイ『も学 34年もがいて辿り着いた最上の人生』を発売。
うつ病、HSP(ハイリー・センシティブ・パーソン)、未婚出産、バイセクシャル――自分自身の輪郭を、ラベルに押し込めずに書き記した一冊で、当事者でなくとも刺さるものがあります。
2026年現在も、娘との日常をブログで発信しながら活動中です。
村主章枝|スケーター引退後、バイを示唆
意外とこの人の名前が抜けている記事が多いのですが、元フィギュアスケート選手の村主章枝さんもバイセクシャルを示唆した一人です。
オリンピック5位(ソルトレイク)・4位(トリノ)、全日本選手権優勝5回という日本トップ級の選手が、引退後にセクシュアリティを開示した――これ、当時けっこうな衝撃でした。
2014年11月13日に現役を引退し、同月28日放送の『アウト×デラックス』(フジテレビ系)で「あんまりジェンダー(性別)にはこだわってなくて…。なんでみんな男女にこだわるのかな」と発言。
同性も恋愛対象になりうることを示唆しました。
2016年6月の同番組では新宿2丁目のレズビアンバーを訪問し、「ボーイッシュな女の子がタイプ」と明言。
同年7月の同番組内のお見合い企画では、おなべ・レズビアンのDJ JURIさん・イケメン男性の3人の中からDJ JURIさんをパートナーに選出。
「本気でやってるバラエティ」として話題になりました。
早稲田大学の機関紙『早稲田ウィークリー』(2017年)では「別に男・女でも、男・男でも、女・女でも、別に好きになった人を好きになればいい、と思うんですよね」と語っていて、
その発言の内容はバイセクシャルというよりパンセクシャル寄り。
ラベリングが難しい例ですが、本人の言葉を尊重するなら「性別にこだわらない」という立ち位置です。
2018年にアメリカへ移住し、2019年には映画制作会社「MonkeY Teer Entertainment」を起業。
2023年には映画プロデューサーとして映画賞8部門を受賞しており、フィギュア引退後にまったく別の地平で勝負しているのがこの人らしい。
2026年現在もラスベガスを拠点に活動しています。
カズレーザー|2025年8月、電撃結婚で「バイセクシャル論争」が再燃
ここで、2026年現在この検索キーワードの主役と言ってもいい人。
カズレーザーさんです。
2025年8月10日、女優の二階堂ふみさんとの電撃結婚を発表して、日本中のバイセクシャルに関する議論に一気に火がつきました。
まず前提から整理します。
カズレーザーさんがバイセクシャルを公言したのは2015年、CBCテレビのバラエティ番組『本能Z』でのこと。
「男女関係なく、とにかくルックスが美しい人が好み」と発言したのが、最初の大きなきっかけでした。
翌2016年のイベントでは、さらに有名なフレーズが生まれます。
「2車線あるだけ」という表現、これ以上ないくらい絶妙です。
バイセクシャルという概念を「ルートの数」として語ることで、特別でも過剰でもなく、ただの構造の違いとして提示してみせた。
カズレーザーさん、やっぱり頭の回転が別格です。
過去の交際経験は女性7人、男性6人と公表。
好みのタイプは男性なら京本政樹さんや及川光博さん、女性なら天海祐希さん。
「男女問わず凛とした美しい人」という一貫した好みが見えます。
そして迎えた2025年8月10日。
二階堂ふみさんとの結婚発表のニュースで、ネット上には「やっぱり最終的には女性と結婚するんだ」「バイセクシャルはビジネスキャラだった」という声が一気に噴出しました。
翌11日の『サン!シャイン』生放送でカズレーザーさんは「非常に嬉しい。その一言でございます」と冷静にコメント。
発表タイミングについて「マスコミが休みになる今が一番いいかなと」と答え、いつものツッコミ受けスタイルをキープ。
9月4日にYouTubeチャンネル『カズレーザーと松陰寺のチルるーム』で結婚の理由を聞かれると、「結婚に全然興味がなかったですね」と即答。
「これ本当にすごいことなんですよ。本当にみんなびっくりしたほうがいいですよ!」と、結婚に興味がない自分が結婚した事実そのものを面白がっていました。
ここで、「バイセクシャルだったのに女性と結婚した=嘘だった」は論理として成立しないという話に戻りたい。
バイセクシャルの定義は「男女どちらも恋愛対象になり得る」であって、「両方と交際し続ける」でも「最終的に同性と結婚する」でもない。
カズレーザーさんが女性と結婚したのは、バイセクシャルという属性を否定する事実ではなく、単に「今回の相手がたまたま女性だった」というだけの話です。
これをバイフォビア(バイセクシャル嫌悪)と呼びます。
レズビアンコミュニティ内ですら「バイセクシャル女性はどうせ男と結婚する」という偏見があるそうで、今回の結婚報道はその偏見を可視化した一件でもありました。
属性は事実であり、選ぶ相手は人生の結果。
このふたつは別物です。



「結局は女性と結婚したんだ!」と騒ぐ人は、「左利きの人が右手で箸を持つ日もあるんだ、嘘つき!」と騒いでるのと構造は同じです。
池添俊亮|「テラスハウス」でのリアルタイム・カミングアウト
少し毛色の違うカミングアウトもあります。
モデル・メイクアップアドバイザーの池添俊亮(愛称:ZOE)さんは、2018年フジテレビ&Netflix制作の『TERRACE HOUSE OPENING NEW DOORS』(軽井沢編)に第32話から入居。
入居時のインタビューで、「自分がバイセクシャルかもしれない」と公表し、その疑問を解消するために番組に応募したと語りました。
番組内で会社員の河野聡太さんへの恋心を自覚し、第37話で卒業。
「答えが見つけられた」「テラスハウスに住んで、新しい扉を開くことができました」と発言しました。
リアリティショーという場で、自分のセクシュアリティを確認するプロセスそのものを公開したのは、当時としては相当に新しかった。
卒業後のInstagramでは「まだ日本は両性愛や同性愛、LGBTQ+についてオープンにしづらい環境かもしれない。けど本当に大切な人たちはきっと理解してくれるはず」と発信。
2019年3月にアメブロを開設し、現在もSNSでLGBTQ+関連の情報発信やイベント参加を続けています。
その他の公表者|江頭2:50・勝間和代・kemioほか
さらに、日本で何らかの形でバイセクシャル・多様なセクシュアリティを公言している芸能人・著名人を、短く紹介しておきます。
- 江頭2:50さん:複数のバラエティ番組で「男性も愛せる」と公言しているバイセクシャル。お馴染みのキャラのためネタと受け取られがちだが、発言は一貫している。
- 勝間和代さん:2018年5月に当時のパートナー・増原裕子さんとの交際を公表。2019年11月に破局し、このときに自身が「パンセクシャル」であることを公表。厳密にはバイセクシャルではないが、「性別にとらわれない」カミングアウト著名人として重要。
- kemio(藤田ケミオ)さん:YouTuber・タレント。エッセイおよびTwitterでゲイを公言。過去に女性との交際歴があるためバイ的要素も示唆されているが、本人は現在「ゲイ」と自認。
ここで触れておきたいのが、故・ryuchell(比嘉龍二)さん。
2022年8月にpecoさんとの「夫妻関係解消」を発表した際、「本当の自分」について語りましたが、本人が具体的に「バイセクシャル」と自称した形跡はないのです。
「バイセクシャル」と分類するメディアもありますが、ラベルの乱用は故人に対して不誠実だと思うので、この記事では「多様なセクシュアリティを模索していた方」として敬意を込めて触れるにとどめます。
バイセクシャルを公表した海外の芸能人
海外に目を転じると、カミングアウトの母数がグッと増えます。
文化的に日本より早くから当事者の発信が広がっていたため、ベテラン勢から若手まで層が厚い。
代表格を駆け足で紹介します。
レディー・ガガ|バイセクシャル×LGBTQ+アクティビストの代名詞
言わずと知れた世界のアイコン、レディー・ガガさん。
2009年頃からバイセクシャルであることを公言し、「Born This Way」をはじめLGBTQ+支援のメッセージを込めた楽曲・発言を継続。
数多の当事者にとっての精神的な支柱的存在になっています。
ガガさんが他のセレブと違うのは、「私はこういうセクシュアリティです」で止まらず、社会を変える運動に踏み込んでいること。
単なるパーソナル・ステートメントに終わらせない姿勢が、彼女を「LGBTQ+アクティビスト」として語られる存在にしています。
アンジェリーナ・ジョリー|バイセクシャルとしての発言を一貫して維持
アンジェリーナ・ジョリーさんは2000年のインタビューで「正直、全部好きです。ボーイッシュな女の子、ガーリッシュな男の子、太い人、細い人」と発言。
2003年のインタビューでも「明日、誰かしらの女性に恋をして、彼女にキスして触れたくなることがオーケーだと思うかって?もちろん!」と回答しています。
元交際相手として日系アメリカ人モデルのジェニー・リン・シミズさんとの関係を公にしており、
「私は自分がバイセクシャルであることを隠したことはない」とのスタンス。
ブラッド・ピットさんとの結婚・離婚を経た現在も、その姿勢は変わっていません。
クリステン・スチュワート、ルネ・ラップ|若手のオープンな姿勢
『トワイライト』のベラ役で知られるクリステン・スチュワートさんは、「あなたがバイセクシュアルだからといって、あなたが混乱しているなどということはない」とインタビューで断言。
「自分を知ること=混乱」みたいな決めつけに、正面から風穴を開けた発言です。
『ミーン・ガールズ』のレジーナ役で一気に名前が売れたルネ・ラップさんも、2023年のインタビューでバイセクシャルを公言。
「私はストレートではなかったけれど、自分のセクシュアリティにより人に笑われることにとても怯えていた」と、公表前の心情も率直に語っています。
ビリー・ジョー・アームストロング、エルトン・ジョン、デヴィッド・ボウイ
ロックの世界では、Green Dayのボーカル、ビリー・ジョー・アームストロングさんが1995年にバイセクシャルを公表。
「両親と社会がマイノリティであることをタブー視していることを指摘し、バイセクシュアルは美しい」と発言。
1990年に女性と結婚し二児を持つ現在も、バイセクシャルとしてのアイデンティティを維持している代表例です。
エルトン・ジョンさんは過去に女性と結婚(のちに離婚)し、2005年に男性パートナーのデビッド・ファーニッシュさんとCivil Partnershipを締結。
のち同性結婚が認められると正式に結婚しています。
デヴィッド・ボウイさんは1976年の雑誌インタビューでバイセクシャルを公表、のちに「人生最大のミス」と複雑な感情を語りつつ「バイセクシュアルであることは自分の大部分を占めている」とも述べました。
他にもケシャさん、ドリュー・バリモアさん、アンバー・ハードさん、ホールジーさん、ジェイソン・ムラーズさんなど、公表者は多数。
海外ではカミングアウト後のキャリアがむしろ加速するケースが多いのも特徴で、「公表=リスク」という日本の感覚とはかなり温度差があります。
カミングアウト後の人生|彼らの「いま」を追いかける
ここでおそらく、他の「バイセクシャル芸能人まとめ」記事と一番違う視点を提示します。
公表後、彼らはどんな人生を歩んだのか。
カミングアウトの瞬間だけを切り取った記事が多すぎて、その後の人生が見えにくい。
下の表でライフイベントを時系列に並べてみました。
| 年 | 人物 | 出来事 |
|---|---|---|
| 2012年2月 | 鳥居みゆき | 『さんまくりぃむ』でバイ公表(当時30歳) |
| 2012年9月 | 壇蜜 | 『週刊プレイボーイNEWS』でバイ公表 |
| 2012年12月 | 最上もが | 公式ブログでバイ公表 |
| 2014年11月 | 村主章枝 | 『アウト×デラックス』でバイ示唆 |
| 2015年 | カズレーザー | 『本能Z』でバイ公表 |
| 2018年 | 池添俊亮 | 『テラスハウス』でカミングアウト |
| 2018年5月 | 勝間和代 | 増原裕子さんとの交際公表 |
| 2019年 | 鳥居みゆき | タロフさんと離婚(”誤爆離婚”) |
| 2019年11月 | 壇蜜 | 漫画家・清野とおるさんと結婚 |
| 2019年11月 | 勝間和代 | 増原さんと破局・パンセクシャル公表 |
| 2021年5月 | 最上もが | シングルマザーとして娘を出産 |
| 2023年4月 | 最上もが | フォトエッセイ『も学』発売 |
| 2025年8月 | カズレーザー | 女優・二階堂ふみさんと電撃結婚 |
こうして並べてみると、カミングアウトはゴールではなくスタートにすぎないことがよく見えます。
結婚した人、離婚した人、未婚でシングルマザーになった人、海外で別キャリアを築いた人。
セクシュアリティは「ラベル」ではなく、その人の人生という長い物語のなかの一つの要素にすぎない。
この当たり前の感覚を、表一つで体感してもらえたら十分です。
バイセクシャル芸能人にまつわる5つの誤解と、本人たちの反論
ここまで読んできて、何度か「それ誤解ですよ」と言いたくなった瞬間があったはずです。
この章では、バイセクシャルにつきまとう典型的な誤解を5つ取り上げ、公表している芸能人自身の発言で反論していきます。
ゴシップ記事では届かない解像度で、偏見を解体していきましょう。
誤解①|「バイは誰でも恋愛対象になる」
最初に反論したいのが、この「誰でもOK」説。
これに関しては、カズレーザーさんの発言がすべて回収しています。
番組で「全員が恋愛対象だもんね」と突っ込まれた際、すかさず返したのがこのセリフです。
神回答です。
「バイセクシャル=全員に欲情する」という発想そのものが、ストレートの人に「あなた、異性なら全員恋愛対象?」と聞くのと同じくらい雑なんですよね。
2車線あるけど、全車を愛してるわけではない。
誰にでもタイプとそうでない人がいる、という至極当たり前の話です。
最上もがさんも「近頃バイセクシュアルだからといって誰でも好きになるわけではない」と同様の指摘をしています。
実際、最上さんはむしろ「あんまり人を好きにならないです」と、恋愛対象の狭さ側を語ることが多い。
一括りにするのは、ただの怠慢です。
誤解②|「結局どちらかに落ち着く」
2025年のカズレーザーさんの結婚でもっとも噴出したのがこれ。
「結局女性と結婚したから、やっぱりストレートだったんだ」という論調です。
これは論理的に成立しません。
壇蜜さんが言っていた「6対4で、男性が6になったり、女性が6になったり」という比率の揺らぎ。
カズレーザーさんも「お酒を飲むときは、どちらかというと季節的に男性に行きたくなる」と、気分や季節によって揺れることを公言しています。
つまりバイセクシャルは「二者択一」ではなく「両方を含むあり方」であって、いちばん濃い関係を結ぶ相手が異性か同性かは、人生の結果に過ぎません。
ビリー・ジョー・アームストロングさんは女性と結婚して二児を持っても、バイセクシャルという自認を撤回していません。
壇蜜さんも同様。
結婚相手の性別と、本人の性的指向は、独立した2つの概念です。
誤解③|「バイは性的に奔放」
「両方いけるってことは経験豊富なんでしょ」という偏見。
これもカズレーザーさんが「そんな軽い男じゃねぇっすよ」でとっくに片付けています。
最上もがさんも自身について「あんまり人を好きにならない」と繰り返し語っており、属性と個人の性癖は別レイヤーの話。
ストレートの中にも奔放な人とそうでない人がいるのと同じように、バイセクシャルの中にも奔放な人とそうでない人がいる。
当たり前のことなんですが、少数派になるとなぜか「全体像」として語られがちになる。
マイノリティに対する典型的なステレオタイピングです。
誤解④|「同性愛者になる過渡期の段階」
「バイセクシャルって、最終的にはゲイかレズになるんでしょ?」という誤解もいまだに根強い。
過渡期説、経由地説、みたいな考え方です。
これについては実例が最良の反証。
壇蜜さんは2012年からバイを公言し続け、2019年に男性と結婚して2026年現在もその自認を変えていません。
カズレーザーさんも2015年からバイを公言し、10年後に女性と結婚しましたが「バイセクシャル」という自認を撤回する発言は一切ない。
ビリー・ジョー・アームストロングさんにいたっては1995年の公表から30年以上、一貫してバイセクシャルという立場を守っています。
過渡期というなら、10年も30年も過渡期ってあり得ないですよね。
バイセクシャルは、「通過駅」ではなく「終着駅にもなり得るれっきとした独立したアイデンティティ」です。
誤解⑤|「結婚すればストレートになる/治る」
最後が一番根深い誤解。
「治る」という言葉を使っている時点で、すでに問題です。
バイセクシャルは病気ではありません。治すものでもなければ、治るものでもない。
カズレーザーさんの結婚報道で、「ほら、やっぱり女性を選んだ」「女優と結婚したら忘れられるね」みたいなコメントがいくつも流れましたが、本人たちが一度もそんなことを言っていないのがすべて。
むしろ属性はそのままに、選んだパートナーとの人生を生きているだけ。
左利きの人が右手で箸を持ったからといって、右利きに「なる」わけじゃないのと同じです。



「結婚すれば治る」発言、言っている本人は善意のつもりだったりするのでタチが悪い。善意の差別って、一番ほどけないやつです。
日本社会におけるバイセクシャルの現状|制度と現場のギャップ
芸能人がカミングアウトする姿が目立つ一方で、一般社会のカミングアウト環境は思ったほど改善していないのが現実です。
ここで社会構造の話を少しだけ。
「自分の周りには公表している人がいない」と感じる人にこそ、読んでほしい部分です。
電通LGBT調査2018によると、LGBT層のうち職場の同僚にカミングアウトしている人は4.5%、上司に至っては2.6%。
しかも69.5%が「以前に比べてカミングアウトしやすい環境になっているとは感じない」と回答しています。
「LGBT」という言葉の認知度は2015年の37.6%から2018年の68.5%へと倍増したのに、当事者の体感は変わっていない。
言葉が広まっても、空気は変わってないということです。
制度面でも、日本は2026年4月時点で同性婚が法制化されていません。
複数の高裁で違憲判決が出ていますが、最高裁判決待ちの状態。
パートナーシップ証明制度は多数の自治体で導入されているものの、法律婚とは効力が大きく異なります。
カズレーザーさんもかつて「男性が相手の場合は、日本にいる限り結婚を発表することはないでしょう」と述べていました。
二階堂ふみさんとの結婚が成立したのは、相手が女性だったからこそ可能だった、とも言えます。
こう考えると、芸能人のカミングアウトが社会の空気を前に進めるのに果たしている役割は軽視できません。
電通調査でLGBTQ+層の自己申告が2012年の5.2%から2023年の9.7%まで増えたのは、「言っていい雰囲気」を誰かが先に作ってきたから。
芸能人のカミングアウトは、その「空気作りの最前線」です。
自分自身のセクシュアリティに悩んでいるあなたへ
最後に、少しトーンを落としてこの話をさせてください。
ここまで読んでくれた方の中には、情報として読んでいる人もいれば、自分のこととして読んでいる人もいるはずです。
後者のあなたに、伝えたいことがあります。
最上もがさんが、番組でこう語っていました。「性別云々とは別に”その人だから”好きになるだけ」と。
「一緒にいて安心できる人と一緒にいたい。好きになる人は、見た目ではなく、居心地の良さとか」とも。
バイセクシャルという言葉は、自分を一度説明しやすくするためのツールにはなりますが、ラベルを貼られるために生きているわけじゃない。
自分が男女どちらも好きになり得ると気づいたとき、「自分は普通じゃないのかも」と不安になる人はまだまだ多い。
でも、クラスに1〜2人が当事者というレベルで当たり前の存在ですし、今回紹介してきた芸能人たちはみんな、「普通ではないこと」を引き受けた上で、普通に幸せに暮らしている。
カズレーザーさんも結婚して「良いことしかない」と言っていましたし、最上もがさんは娘との日々をブログでアップしています。
壇蜜さんは漫画のモデルになるほど夫と仲がいい。
一人で抱えきれないときは、相談できる窓口もあります。
よりそいホットライン(0120-279-338)はセクシュアリティに関する相談を無料で受け付けていますし、NPO法人ぷれいす東京などの専門団体も存在します。
「自分のことをまず自分が受け止める」。
そのプロセスに、今回紹介した芸能人たちの言葉や選択が、少しでもヒントになったならこの記事を書いた甲斐があります。
まとめ:この記事のポイント
・バイセクシャルとは男女両方を恋愛対象にし得るセクシュアリティで、比率は人によって異なる
・2025年8月、カズレーザーさんが女優・二階堂ふみさんと電撃結婚してバイセクシャル論争が再燃
・「女性と結婚した=バイではなかった」は論理として成立しないバイフォビア
・壇蜜さんは2019年に漫画家・清野とおるさんと結婚し、バイという自認は撤回していない
・鳥居みゆきさんは2019年に離婚(通称”誤爆離婚”)、元夫とは現在も友人関係
・最上もがさんは2021年にシングルマザーとして出産し、現在も娘と暮らしながら活動中
・村主章枝さんは引退後アメリカへ移住し、映画プロデューサーとして賞を受賞
・海外ではレディー・ガガさん、アンジェリーナ・ジョリーさん、ビリー・ジョー・アームストロングさんなど公表者多数
・バイセクシャルをめぐる主な誤解は「誰でも対象」「結局どちらかに落ち着く」「性的に奔放」「過渡期」「治る」の5つ
・日本のLGBTQ+層は人口の9.7%(電通2023年調査)、増加は「言いやすさ」の反映
・同性婚は2026年4月時点で未法制化、芸能人のカミングアウトは社会の空気作りに寄与
結局、バイセクシャルの芸能人を並べて見えてきたのは、セクシュアリティは人生の一要素であって、すべてではないという当たり前の事実でした。
カミングアウトした後も、結婚したり離婚したり、子どもを育てたり移住したり、みんな淡々と自分の人生を生きている。
「バイだから特別」でも「公表したから偉い」でもなく、ただ一人の人間として、好きな人を好きになる。
このシンプルな話が、当たり前に通じる社会まで、あと何歩くらいでしょうか。



「結局は異性と結婚したじゃないか」と騒ぐ人の何倍も、ただ黙って「おめでとう」を言える人が増えた社会。それがゴールだとしたら、もうあと一歩のところまで来ている気もします。
※本記事の情報は執筆時点(2026年4月)の最新情報に基づきます。特にカズレーザーさんと二階堂ふみさんの結婚は2025年8月10日に発表された内容です。


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